キャストインタビュー

「キツかった」です。言葉で表現するのが難しいですが、「しんどいけど、しんどくない」、すごく楽しい「キツさ」でした。いくつものエンディングがある中で、『バッドエンド』という言葉だとちょっと軽く聞こえちゃう……そんな風に感じるエンディングもあって。どの終わりに辿り着いても、ひとりの人間の人生がしっかりと描かれていて、壮絶。

でも、それも含めて終始美しい作品でした。セリフ以外のト書きもすごく好きで、線を引きながら読み進めていくうちに想像力が膨らんで……だからこそ、本当に「しんどい……」と感じるシーンも多かったんですが、その分演じるのはすごく楽しかったです。

お話をいただいた時に、主人公と伺って……一番プレイヤーに近い目線でもあり、『主人公』のイメージとして、ネガティブかポジティブかで言えばポジティブの要素を持っている子なんだろうと思いました。キャラクターデザインを見ても、明るい雰囲気ですよね。黄色の印象も強くって。

だけど、実際は内面がかなり複雑。陰な要素が強い。基本的には素直で明るい、良い子でもあるんですけど……『歪み』というか、そういう言葉が似合っちゃう子でもあるなと。

そういうキャラクターを演じる機会がこれまであまりなかったので、「これは挑戦だ」と思いました。

どのキャラにおいても、『人間の本性』が描かれているところでしょうか。普段みんなが理性で抑えている部分が、じわじわと表に出てくる。日常ではそう味わえない感覚を、是非『岩倉アリア』で思う存分味わっていただきたいです。

プレイヤーのみなさんにはもちろんトゥルーエンドに行ってもらいたいですが（笑）、それ以外のエンディングに向かう時にこそ、キャラクターそれぞれの人間性がより濃く出てくるところもあって……お芝居的にも初めて挑戦させていただいた場面がたくさんあるので、そちらにも是非注目していただきたいなと思います。

ここまで話したことだと、シリアスで怖いシーンばかりなのかと思われると思うんですが、壱子とアリアの関係……女性同士の密な雰囲気、というところで、甘いドキドキも楽しんでいただけると思います。

収録時にはなかったカットインのイラストも、プレイヤーの皆さんはたくさん見られるはず。きっと……つい息を止めて見ちゃうようなシーンもあるんじゃないかな。

是非、壱子の視点でふたりの時間に没入して、楽しんでいただきたいです。

ストーリー展開としても、キャラクターの心情としても、振り幅のかなり大きな作品です。そんな魅力的な作品に関わらせていただけて、本当に嬉しいなと思っています。

壱子は皆さんの目線になるキャラクターなので、壱子とともにこの世界に入り込んでいただいて、緊迫感やドキドキした気持ちを味わいつつ……是非、一緒に苦しんでください！

苦しんだ先に何が待っているのか、「その先」も楽しみにプレイしていただけたらと思います。

実は、お話をいただいた時に、キャラクター設定以外にキャラクターの内面や性格についての説明資料をいただいたんです。そこに、「育った環境に恵まれていたら、真っ直ぐ明るい、楽しい人物に育っただろう」といったことが書かれていて……演じるほど、その意味がすごくわかったのが、なんというか……切なかったです。素直で明るいだけじゃない壱子、その歪さも魅力ですが、それが生まれ持った地の性格があってこそというところもあって……本当に複雑な魅力があるキャラクターだと思いました。

ただ、本来持っていたはずのものがありつつも……壱子自身、自分で自分の状況を理解しきれていないんだなっていうところがあって。そういう面が垣間見えるシーンは印象的でした。

そのひとつが、『吐きグセ』ですね。

主人公……というか、キャラクターとしても『吐きグセ』があるってなかなかないと思うんですよね。だからこそ、壱子という人間を理解しようとする上でとても重要なポイントに感じました。

自分で思ってもいない無意識なところでかなり負荷を感じちゃってて、それが身体に表れてる。それって結構危険な状態じゃないですか。そこに至るまでにどんな思いがあったのかなとか、そのクセが出てしまう場面では特に、彼女が今までひとりで生きてきたことの重みを感じていました。

自分に対しては冷めていたり、評価が低いところもあるんですが、他人に対してはそうじゃないんですよね。すごく気遣いの言葉をかけられるし、そういう気持ちを持っている。「綺麗な屋敷だから傷つけないように爪を切る」とか、起床時間を聞きそびれたら「早く起きておこう」とか。そういう真面目さは、どんな環境におかれても変わらない根の部分なのかなと思いました。細かい配慮が出来る素敵な子。

アリアに対しての気持ちも、恋愛的なところもあるのかもしれないんですけど……大事な人のことを助けたい、そのために真摯に考えて行動出来る。そういうところが、すごく真っ直ぐでいいなと思いました。

屋敷から逃げ出したくなっていた場面もありましたが、基本的には「出来ることはやろう」という感じで動いていける。思うだけではなく実際に行動に移すことができる。それこそが、彼女が主人公である大きな要素だったのかなと。どんな状況でも軸はぶれてないところが、すごく素敵だなって思ってましたね。

思ったら即行動しちゃう、怖くても「気になる」が勝っちゃう。怖いもの見たさで進んじゃうとか、逆にここで見なかったら後悔しそうだなと思うというか。その辺りの物怖じしなさは結構似てるなと思ってました。でも、先に進んだあとの勘の良さは壱子だけですね（笑）。

似てない部分では、決定的に違うことがひとつあります。私、ネギが好きなんですよ（笑）。

そうですね。本当にたくさんあるんですけど、一番「うわ」って思ったのが……周さんが気持ち悪いっていう（笑）。後半で周さんと関わるシーンは、どれも印象的ですね。

周さんは、人間の嫌なところを全部引き受けちゃったモンスターというか、とんでもない存在だなと思って。序盤はダンディーで渋い感じのおじ様で、壱子にも優しくしてくれていたので、ギャップ面で驚愕しました。

本当に、いい大人というかなんなら味方だと信じていたんですけど、すごい裏切りですよね。

壱子を演じている側としては、とにかく気持ち悪いなって。こんなに「うわー……」と思ったキャラクターは初めてかもしれません（笑）。言い回しも、何かと嫌なところをついてくる感じも、いろんな意味で「いやらしいな」と思いました。

ビジュアルは好きです。表面上は優しいですし、ついていきたくなる人の気持ちもわかります。でも……壱子とのやりとりを知っていると、厳しいですね（笑）。

まず、美しい。シナリオにもその美しさを表す言葉がたくさん書かれていて、実際ビジュアルを見せていただいてもその通り、浮世離れした綺麗さで……確かにこんな人に現実で出会ったら、息が止まるだろうなと思いました。

最初の方は怖い言動もあって、冷たい美人の印象でしたが、徐々に出てくる茶目っ気が可愛らしかったですね。少女的……と言っていいのかな（笑）。壱子はなんだかんだグイグイ引っ張っていくタイプだと思うんですが、アリアの予想外の言動に振り回される場面も多くて、ふたりのそんなやりとりが可愛いかったです。

スイに関しては、初めて会った時から結構パーンとはじけた明るい子のイメージでした。

壱子にとって同世代の友達という存在があまりいなかった中で、親友というか、自分の心の中もさらけ出せる関係性になっていったのは……『岩倉アリア』という作品ではありますが、ひとつの友情物語としてもすごく良かったなと思いました。

スイは、絵に関してだったり、壱子がマイナスにとらえてしまいそうなところをプラスに変えてくれるところがあって、そういう子が壱子の周りにいてくれるのが俯瞰で見ていて嬉しかったです。

スイと一緒にいると、壱子が無意識にモテ仕草を見せるようになるんですが（笑）、それも演じていてとても楽しかったです！

49歳で屋敷を燃やしているエンドは……かなり印象的でしたね。本当にしんどかった。もう救えないですよね。逆に、よくここまで生きたなって気持ちもありますし。頑張って生きたんだなって。でも人生って、本当にちょっとした何かがきっかけで……こうなっちゃうこともあるんですよね。

多分（岩倉家を出た後）何を見ても楽しくなかったし、世界から色が消えた状態で過ごしていたのかなって。そんな事を考えて……収録後、つい「きつい……」と声を漏らしてしまいました。

それから、もちろんトゥルーエンドも外せません。最後にピンクの百日紅が出てくるのが、なんでだろうって気になって花言葉を調べたんです。そうしたら「あなたを信じる」って書いてあって、すごくいいなと思いました。たとえ意図的なものじゃなかったとしても、壱子達にはすごく意味のあるものに思えて……「あなたを信じる」、その気持ちも込めて、33年後もアリアと一緒にいる壱子を演じました。

是非！　探索パートのドキドキもゲームならではですよね。でも、作品としてはゲーム以外でもすごく楽しめそうだなと思っています。個人的には、『岩倉アリア』の小説本が欲しい！　アニメや実写も似合いそうですよね。ゲームから展開が広がっていくことを、密かに期待しています。

とにかく、ほっとしています。プレイしていただければおわかりいただけると思いますが、ずいぶんと難しい役だったので、この『岩倉アリア』という人をどう演じようかというのは、すごく悩みました。声色やトーンもすごく気になって。でも、シナリオを読み進めていくうちに、声色よりもその時その時の気持ちで出た音、色んな面がそのまま出てもいいのかなって。そうなると、次はひとつひとつの感情を掴むことがより重要になってくる。そういう意味でもすごくエネルギーのいる役でしたね。

月並みな言い方ですけど、『ミステリアス』ですね。そして美しいというのは大前提なんですけども、血の通っている美しさというより、ドールのような印象を受けました。

どのビジュアルもとても美しいので、ぜひ注目していただきたいです。お話としても壱子さんの描く絵が大きなテーマ、大きなポイントにもなっていると思うので、美しいビジュアル、絵とともにストーリーを楽しんでいただければと思います。

それから、なんと言っても『アリアと壱子の関係性』ですね。だんだん絆が深まっていったり、逆に離れそうになってしまったり……ふたりの関係の行方に注目していただいて、ドキドキしてもらえたらいいなと思います。

そうですね。私は数日にわけて収録をしたんですが、終盤に差しかかってくると帰り際には本当にすごく疲れていて（笑）。なんでって、ものすごく目まぐるしく色んな感情が駆け抜けるんですよ。泣いたり怒ったり、喜んだりドキドキしたり。とにかく感情が忙しすぎて、数時間で何日分も生きたような、そんな感覚がありました。

きっとプレイしてくださる皆さんにも、私と同じように、たくさんの感情を体験してもらえるんじゃないかなと思います。

実社会で味わうのはまずいようなところ、そういったドキドキやゾワゾワも、是非『岩倉アリア』で味わっていただきたいです。

アリアには大きな秘密があります。是非、壱子と一緒にその秘密を追ってみてください！

痛みという感覚が蘇ってからのシーンが、今演じ終わってみて、やはり強く印象に残っています。どんどん人間味が増して、ドールから人間になっていく姿ですね。身体の傷を痛がり始めて、同時にどんどん子供じみていくのが……止まっていた時間が動き出したような感じがして。アリアが幼い子どものようにワンワン泣いているところなんかは、特に印象に残っています。

パーティーのシーンなんか、本当にそうですよね。壱子さんがヤキモチを焼いて、喧嘩みたくなっちゃうところとか……初めて感情や本音が表に出て、アリアに人間味が出て。そこでの壱子とのやりとりもすごく心に残っています。

実は、私自身は痛いのがとっても苦手で。公表している持病があるんですけども、その治療で入院していた時に、毎日毎日針を刺して血糖を測らなくちゃいけなかったんです。採血や点滴の管を入れるとか、とにかく色んなところを刺されたり……それはそれは辛くって。子どもみたいに騒いでは看護師さん達に謝って、そのたびに慰めていただいて（笑）。

だから、ちっとも痛みを感じないアリアさんはとても羨ましかったです。

痛くないということは、危険がわからないということでもありますよね。でも、アリアさんの場合はすぐ治るって、その辺りもクリアしてるじゃないですか。そこが、心底羨ましい。

でも本当は、人は痛みを感じるからこそ気付けたり労ったりもできる……何よりこれは生きているからこそ持っている感覚なので、アリアもそれがないゆえの苦しみを抱えていましたし、『痛み』というものはやはり生きる上でとても大事なものなのだろうと思っています。

なので、便利な時だけそうなれたらいいなとは思います。……これはちょっとずるいかな（笑）。

真っ直ぐに育っていれば、その時期にきっとやれたはずのことを、今やっているんだなって。壱子と出会って、止まっていた時間が動き出して、今まで出来なかったことや今まで出せなかった感情が全部出てきて……だから、ちょっと幼いんですよね。スイちゃんへのヤキモチなんかもそうですけど。

可笑しかったのは、ブレスレットのチャームをうまくつけられないシーン。自分でうまく出来ないのにそう言えなかったりだとか、簡単な作業だと思われたくなくてちょっと難しそうに言ってみたりだとか（笑）、そういうよくわからない面倒くさい感じが可愛いなと思ってました。

単純じゃないからこそ、どういう子なんだろう、どういう人なんだろうって。もっと色んな面があるんだろうなって知りたくなる。アリアは私にとって、そんな魅力に溢れた子ですね。

壱子さんは壱子さんで、アリアとはまた違った意味で大人と子ども、両面あるなと思いました。壱子さんの場合、アリアと違ってそれが真っ直ぐというか、結構熱い人なんですよね。

すごく行動力があって、気になることは絶対に探ってしまうし、嫉妬したらわかりやすく妨害してアリアを連れ出してみたりする。そういうところは魅力だなって……私から見ても思いましたし、アリアから見たらすごく羨ましいんじゃないかとも思いました。

アリアはマラソンに憧れているけど、自分は走る自信がない。でも、壱子は走れる、壱子は走れる人なんだと思っている。そう思わせる行動力や熱さが魅力だなと思いました。

そうですね……私が受けた印象は、「人となりが見えない」。すごく耳に心地いいことを言っていたりもするし、物腰も柔らかいと思うんですけど、この人が本当は何が好きなのか、何が嫌なのかわからない。ちゃんとお腹の底を見せて人と付き合っている人っていう感じがしないんですね。同じ家族として、一応父としてそばにはいるけど、何を考えているのか本当のところが見えない人だなと、ずっとそう思っていました。

本当に。つかみどころがない人ですね。そこが魅力でもあり、怖さでもあると思います。

物語とは少し離れてしまうんですが、ひとつ忘れられないことがあります。

私、台本をいただいたその日のうちに、一気に全部読んじゃったんです。世界観にハマってしまって、じっと読み込んでいるうちに夢中になって……だからこそなんですが、あるところで、壱子とスイちゃんがどんどん仲良くなってしまって、「え～！？」って（笑）。壱子に人を紹介しようとしても素気なくされて、「どうして！？」とショックを受けたところで、「そうだ、ゲームの台本だった」って思い出して（笑）。

そうなんです！　なのでスイちゃんに関しては、その時の壱子とおしゃべりしている姿がすごく印象に残っていますね。

アリアが65歳になって登場するエンディングがふたつあって、かなり落ちぶれているバージョンの65歳を演じたのは、やっぱり印象に残っていますね。「もっと落ちぶれて、惨めな感じで年齢以上に老け込んでくれ」といったご注文があって、それはそれは……楽しかったです（笑）。こんなおばあさんはどうでしょう？　と何度も挑戦させてもらいました。

そして、人生の分岐点、ちょっとした選択でこういう未来にもなるんだな……と思いながら、また1966年のアリアさんに戻って。そのギャップも楽しませていただきました。

とはいえ、もう一方の65歳にも別の良さがありました。1966年のシーンも含めて、トゥルーエンドのふたりは本当に楽しそうで。演じている私も嬉しかったです。

壱子さんとの関係次第だとは思うんですが、アリアには自分がしたかったこと、出来なかったことをやって欲しいです。体質も変わって、アリアにも年老いる日が来る。そうすると身体の節々が痛んだり、楽しいだけでは決してない不具合が出てくると思うんです。

でもアリアにはそれも生きているっていう実感、そういう前向きな感覚として受け入れて、年を重ねて欲しいなと思います。幸せになって欲しいですよね。

すごく世間知らずだと思うから個人的には心配ですけど、きっと壱子さんが助けてくれるはず。とにかく彼女のサポートなくしては、大変なことになってしまうと思います。周りも放っておかない美貌の持ち主ですしね。

屋敷を出て、その後の33年間……苦労はしたかもしれないけど、遅れてきた青春みたいなものを味わって、充実した人生を経たアリア。トゥルーエンドの65歳を演じる前に、そんな明るい雰囲気を想像したらすっと気持ちもついてきたので……『岩倉アリア』という人を演じた身としては、そうあって欲しい。壱子さんと楽しい毎日を過ごしていて欲しいですね。

周は、物語を進めていく要のキャラクターとして全編にわたり登場します。この作品をプレイしてくださる皆さんが、僕の演じる周に常に影響されながら、この世界に没入していく……そんなイメージをしながら、うまく演じられたと思います。やりきりました。

第一印象は、素敵な紳士。当たりも柔らかくて、誰からも好かれそうなおじさんですね。実際に演じてみての印象は……そうですね。ここではまだ語らないでおきたいと思います。

※発売後に追加インタビューを公開予定

ハラハラ……そうですね。周としては、最早ホラーな感じもありました。僕は怖いのが嫌いなので、怖い怖いと思いながら（笑）演じました。

色んな要素が繊細に散りばめられた作品なので、是非想像力をフルに使って楽しんでいただけると嬉しいです！　と、そんな気持ちはありつつも……『岩倉アリア』、オリジナル作品ですからね。これはもう、皆さんが手にしたときに全てが明かされるということで。いま出されている情報を含めて、僕も皆さんと一緒に楽しみな気持ちを膨らませつつ、リリースの日を待ちたいと思います。

もっと言うと、リリースした後に、楽しんでくれた皆さんと感想を言い合えるような場があればもっと楽しめそうだなと思っております。プレイ後、是非声を聞かせてください！

はい。素敵な紳士……まあ、それで終わるはずはないので、というところですね（笑）。期待通りというか、それ以上の変わりようだったと思います。ただ周ひとりでどうというより、この作品にはアリアという絶対的な存在がいて、その対になるというところ、そのコントラストで周が活きるのではないかと思いながら演じました。

印象に残ったのは、やっぱり『切り替わる』部分。長い収録時間の中で、ある種『我慢する時間帯』と『気持ち良く演じる時間帯』とが綺麗に分かれていたので、その切り替わりはシーンとしてもキャラクターとしても印象的でしたね。

そうですね（笑）。というのも、そっち（変貌した後）の方がキャラクターを作り込めるので。その手前までは、作るというよりか……プレイしている方の頭に、リアルに、自然に入っていけるような感じ。重きを置く場所が違うんです。変貌はその過程を経てこそ活かせる部分ですから、そのターンが来るとやっぱりテンションは上がりますね。

周の魅力……周に……魅力、あるかな？（笑）

裏の顔を知っていると、「素敵です！」「魅力的です！」とはちょっと言えないですけども（笑）、物語の中の立ち位置としての魅力というのは存分に発揮してくれている人物です。

ただ、彼の根は「死にたい」。死に対する考え方とかっていうよりは、彼自身がそこに向かっている雰囲気があります。関わっちゃいけないですよね。

いい人に見える人でも実際に何を考えているかわからないということは多々ありますから、壱子や皆さんには「甘い言葉には気を付けろ」と言いたいですね（笑）。

そうなんですよね。かなり力強い感じで、なんなら周以上に変貌した感じがして、すごく面白いなと思ってました。周は、彼女の生い立ちや出会った時の姿を見て、うまく使えると目星をつけたわけですけど、計算違いでしたね。

人形っていう表現もあったと思いますが、やっぱり魂が入っていないような、人間離れしたイメージでした。容姿はもちろん、彼女の閉ざした心、何かいびつな心の持ちよう……人が閉塞された、隔離された環境で、鳥籠の中の小鳥のように育てられていると、こういった状況になることもあるだろうと。今の世の中のことを考えると、ファンタジーな要素があるのに彼女の存在は妙にリアルに迫ってくる。言葉を選ばずに言えば、その現実味が少し気持ち悪くもあり、魅力でもあるなと思いましたね。

全部……全部怖いんですよね。めちゃくちゃ怖い。ホラーですよね、周が（笑）。

本編のホラーチックなシーンも印象的でしたが、エンドでは周自身がホラーになります。中でも、壱子に迫るエンド……好きでした。自分が、「こんなテンションでこう迫られたら怖いよな」って思う感じで演じましたね。僕は怖いのが嫌いで、だからこそ演じられるっていうのがあるんです。「絶対こんなの嫌だ」とか、「絶対こんな人、嫌」だとか。でも、わざとらしく怖がらせようとするのは違う。そこは受け手の心情心理に委ねたい。それに周にしてみれば、僕が怖いと思うようなことも普通のことですから、激情以外はなるべく普通、平坦を心がけました。

どうだろう……生きてるんじゃないですか？　周、死なないような気はしますよね。ただ、生きているとしても崩壊してるというか、その先には破滅しかないような。気になりますね。その辺りは、プレイされた皆さんの意見もぜひ聞いてみたいです。

サスペンスアドベンチャーということなんですが、本編以外にも驚きの展開があります！とにかく「え！？　そうなの！？」という衝撃がいっぱいで、収録もとっても楽しかったです。今までにないインパクトのある作品なので、是非たくさんの方にプレイしていただきたいです。絶対に飽きさせませんよ！

ネタバレを含め、ということは言っていいんですね！？　だったら、それはもう……！　私は、まさか自分が攻略対象だとは思ってませんでした！（笑）スイのルートに入ったプレイヤーさんもきっと驚かれたと思いますが、私も「そうなの！？」ってビックリでしたよ！

作品全体としては、不思議だったり不穏だったり、どのキャラクターも……スイすらなんだか疑わしく思えたりして（笑）。それぞれの秘密や謎がすごくすごく気になるのに、私の台本だけじゃ全然わからないことばかりで！

でも、実際アリアさんたちのことは、スイ自身も知らないことなんですよね。なので収録が終わるまでは色々と聞くのを我慢して、収録後すぐに本編の秘密や謎についてスタッフさん達を質問攻めにしちゃいました（笑）。そこでも「え！？　そうなの！？」という衝撃がいっぱい。『岩倉アリア』というタイトル、ストーリー、ビジュアルも含めて、今までにないインパクトのある作品なので、是非たくさんの方にプレイしていただきたいなと思いました。

見た目がとってもクールなんですよね。でも、中身は明るくてシャキっとしてる。だけどそれも、十六歳の明るさやシャキっと感ではなくて、二十代でも通用するぐらいの大人な明るさなんですよ。時代もあるだろうし、実際社会に出て自立してる子ですからね。だからと言って冷めているわけじゃなくて、壱子のこともそうだし、周りの人のこともちゃんと考えられる子。

見た目と中身、年齢に合わない大人っぽさ、ギャップがすごく魅力的！

しっかりしすぎていて、「もっと子どもでもいいんだよ？」と思う部分もあるんですけど、どんなことでもまずは自分で頑張るぞっていう、一生懸命なところが可愛いなって思いました。

本当に！　あの落ち着いたスイが、慌てまくり動揺しまくりで（笑）。さっぱりしてそうなのに、恋愛となるとまた違うんですよね。回りくどくなったり、早とちりしたり、ちょっと面倒くさい感じ（笑）。でも実際、恋する女の子ってこんな感じだったりもしますよね。すごくリアル。

スイの「好き」（という気持ち）が壱子よりも強いから、素直になれないところもあったと思います。うん。壱子も悪いですよ、無自覚にスイの心を弄ぶんだもん（笑）。

それでも最後には、スイが自分の気持ちを全力爆発で壱子に伝えられて、ほっとしました！

スイがぶりっこにならないといいなと。恋愛面では普段の落ち着きがなくなるとはいえ、全部外に出しちゃう子ではないと思うんですよ。恥ずかしいとか、うわー！　ってパニックになりそうな時でも、我慢しなきゃと思う自制心のある子だと思うので、その葛藤は意識しました。

壱子は自己評価が低くて自信を持てていない部分がありつつも、社会性はあって、しっかり人と話すことが出来る人。なんて言ったらいいのかな。ものすごく考える子で、スイに対しても警戒心があるからか、私は最初、ちょっとつかみどころがない子だなと思いました。

スイとはまた違った意味で、普通の十六歳ではない感じがしましたね。ここに来るまでに、いろんなことがあったんだろうなと思わせるところがあるというか。

ふたりが打ち解けられたのは、環境が違うとしても、大人に囲まれて生きてきたっていう共通点があるからじゃないかな。これまで同級生とは価値観が合わないところもあっただろうし、お互いに等身大で話せる人を見つけられて、めちゃくちゃ嬉しいだろうなって。そんなことを考えながら、壱子とのシーンを演じていました。

ありがとうございます！　スイルートのエンディングは、ある意味トゥルーエンドよりもハッピーエンドかもしれないとスタッフさんに伺って、また「そうなの！？」って驚いたんですが（笑）。スイも壱子も親友としてずっと一緒にいて、辛い時期もきっとたくさん支え合ってきたんだなって感じられる結末で……三十三年経っても明るく素敵なスイを演じられて、とっても嬉しかったです。