あいとゆうきのおとぎばなしとてもちいさな とてもおおきな とてもたいせつなそれは、語られなかった他なる結末。
2001年10月22日――平和な日本で暮らしていたはずの白銀武は、突然見知らぬ世界で目覚めた。そこは、数十年に渡る地球外起源種「BETA」との戦争によって、人類滅亡の危機に瀕した「並行世界」――軍事が全てに優先する最前線国家「日本」だった。世界間を移動した原因もわからないまま、現実に翻弄され続けていた武もいつしかその運命を受け入れ、人類救済計画に関わる国連軍衛士として、愛する者達と共に戦い続ける。 だが、国家間の利害問題を克服できなかった人類は、地球放棄計画を選択してしまうのだった。そして3年後、深い眠りから目覚めた武は、以前暮らした「元の世界」にあるはずの、自分の部屋にいる事に気付く。全ては夢だったのだろうか……? 「元の世界」への帰還を期待する武に容赦のない現実が追い討ちをかける。カレンダーの日付は2001年10月22日。部屋の外に広がる瓦礫の荒野――武は再び、突然「並行世界」に放り出されたあの日に戻っていたのだ! 世界間の移動に続く、時間逆行。人智を越えた怪現象に戸惑う武だったが、失望を振り払い、決意を胸に廃墟を行く。 「未来の出来事」を知る者として歴史に関与し、悲劇的な「結末」を自らの手で変える――朧気な人類敗北の記憶と、理由のわからない喪失感が、武にそう決意させるのだった。果たして武は、人類を勝利に導くことができるのであろうか――!?